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アカッバドーラ

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そのケーキ屋は、教会の近くにあった。

風変わりな店主が作る菓子は、ひとつひとつが宝石のように綺麗で
長い名前のついた小さくて上品なケーキではなくて、
ロールケーキを丸ごととか、チョコレートケーキは、チョコレートを
表面にべったり塗っただけの長い棒のようなもの。
プリンもアルミの容器に入ってオーブンから出したばかりで、
飾りも何もないものばかりだった。


綺麗な菓子を買うことになれた人たちは、
店にいったん入っても、ショーウィンドウに無造作に並ぶ
愛想のないケーキと、それ以上にもっと愛想の悪い店主との顔を見比べて

「えぇ~と。今日は・・・。また来ますね」

「あら?デコレーションケーキはないの?じゃ。この次ね」

「・・・・・」

と、誰一人、ケーキを買わず、殆どの人が、無言で、
そそくさと出て行ってしまうのだった。


開店以来、幾日たっても、ひとつもケーキは売れない。
それでも、風変わりな店主は、同じものを作り続ける。

最初は、好奇心で店に入って来たお客たちも、一ヶ月も過ぎる頃には、
誰も来なくなってしまった。

店主は、ケーキを作っては、毎日、誰よりも早く、朝6時に店を開け、
村の中に一軒ずつある八百屋と雑貨店が店仕舞いをしてしまった後も、
夜の8時まで、律儀に店に座っている。


その店のある場所は、どうしてわざわざこんな場所に店を
構えたのかと誰もが不思議がるほどの、老人の多い小さな
小さな村だった。


店の後ろの厨房の窓からは、教会が見える。
特に、日が早く暮れてしまう冬の日は、教会の天辺についている
十字架が、ネオン彩色されて、暗闇にポッと浮かびあがっているのが、
はっきり見える。


その日も、ケーキはひとつも売れず、売れ残りのケーキを
ダンボール箱に入れながら、風変わりな店主は、
店主の横にいつもぴったりと陰のようにくっついている
モモという犬に向かって・・

「さぁ。モモ。今日もお仕事に出かけよう」
とにっこり笑いながら囁いた。





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Sat
2013.04.27
12:07

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Sat
2013.04.27
12:42

amida #.FHqww6E

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鍵コメさま


お久しぶりです。ごきげんよう。
ふふっ・・そうですね。こういうのは、確かに、かなり、ひさしぶりですよね。
楽しみにして下さるほどの物かどうかは、疑問ですが、
ちょっと書きたい事があって、またはじめました。
いつものごとく、連続ではなく、思いついたときに書いていく
方法かと思いますが、気長にお待ちくださいね。

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