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アカッバドーラ 4

tgyふじm



雲が移動するに従って、クレッセントの薄い月が
見え隠れしている。

月の光で、周りが次第に見えてくる。
ガード下に通じる野原一面に広がったコクリコの花たちも、静かに何かを待っている。

「あなたたちでしょう?風に頼んで、モモに、あの子の事を伝言してくれたのは。
 ありがとう。でも、それだけじゃなく、あの子が、ここで暮らした年月を知っている
 あなたたちに、手伝ってもらわないといけないのよ。
 さぁ。この中で、一番長くここに暮らしているのは誰かしら?
 ほんの少しでいいから、その人の花粉をわけてもらいたいの。お願いできるかしら?」


風変わりな店主が、そう彼らにささやきかけると、風もないのに、
一揺れグルンと大きく揺れたコクリコの長老が、頭を上げながら、返事をした。

「本日は、遠いところからおいで下さってありがとうございます。ティチィア・ライラ。
 確かに、私が、今夜、おいでくださるようにと、風にモモ様への伝言を頼んだ
 長老のエノクでございます。もうご覧になっておわかりでしょうが・・・。
 ロンが、ここに来た時は、まだ1歳にもならない頃でしたが、
 わしらは、、種族は違っても一緒に、いくつもの厳しい冬や暑い夏を越してきました。
 まだ成犬にもなってない頃で、ふざけたい盛りの頃でも、わしらを踏まないように気を 
 配ってくれて、私にも、鼻を近くに寄せていつも挨拶してくれよりました。
あんなに根の優しい、人なっつこい いい子なのに、捨てられても、人間を恨むこともなく・・
 いや。それだからこそ、あんな非道なやつ等にも、警戒する事も知らず、
 逃げることすらできず、あんな目にあってしまった。
 わしらの仲間も、ご覧のように、ロンを痛めつけたやつらに踏み荒らされて
 瀕死の者も大勢おります。ティチィア・ライラ。どうかお願いします」


「わかってます。わかってますよ。お礼には及びません。大丈夫です。
 長老殿、では あなたの花粉を一振り、この小瓶の中に振りかけてもらえますか?」


ティチィア・ライラと呼ばれたその風変わりな店主は、そう言って、半分ほど液体の入った
緑色の小さな小瓶を取り出すと、コクリコの長老の前に差しだし、長老は、うまく
花粉がそこに落ちるように、狙いを定めて2度ほど頭をプルプルと振るった。




ロンの寝ていた場所は、泥と血で汚れている。
店主は、急いでそこを掃き清め、持ってきた清潔なシーツを敷いた後、
コクリコの長老からもらった花粉を混ぜた、薄い金色の液体を勢いよく 
2、3度 パッパッと風の流れに添って振り掛けると、ガード下も野原一面も
オレンジとローズマリーとラベンダーの混じったような、不思議な香りに
あたり一面 覆われていった。






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